Symphony V
家の中に戻ると、だいぶ警官や鑑識の姿は少なくなっていた。
唯は目の前で仁王立ちになってにらみつけてくる村儀にびくびくする。

「暫らく、この家は立ち入り禁止にする。いいな?」

村儀に言われて、唯は少し戸惑う。

「あの…でも、私、その間どうしたら…」

「親戚のところにでも行ってろ」

その言葉に、唯は俯いた。

「…はい」

「で?お前はなんだ?こいつの彼氏か?」
今度は巧に視線がいく。

「いや、ちが…俺は中学んときのクラスメイトで」

慌てて答える巧。

「で、そのクラスメイトとやらがなんでこんなところにいる」

言い終わるのも待たず、矢継ぎ早に質問してくる村儀に、巧は戸惑いながらも答えていく。唯はそんな2人の隣で、少しぼうっとしていた。


…どうしよう。はいって言っちゃったけど…


今側にいる親戚といえば、一番近くても大阪か京都まで行かなくてはならない。それに、唯に残された猶予は2日間。その間に、自分の狙われる理由や相手を突きとめなくてはならないのだ。

「おい!お前…紅い蜘蛛にあったのか!?」

「へ?」

急に話しかけられて驚く唯に、村儀は鬼のような形相でにらみつけてくる。


こ…怖い!


「どうなんだ!おい!」

「は、はい、会いました…」

「なぜ一人で会いに行ったりした!」

「ご、ごめんなさい!」

唯は少し泣きそうになりながら、村儀に謝った。

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