KISS OF LIFE
それは、ラッピングされた小さな箱だった。

「じゃ、頑張ってね。

あたしはもう行くから」

「由香ちゃん、どこかに行くの?」

由香ちゃんは満面の笑顔で、
「今日は彼氏とデートなの♪」
と、言った。

彼氏いるんですね…。

「わかったからもう行け、時間がないぞ」

「言われなくても行きますー」

由香ちゃんは南野課長に向かってベーッと舌を出すと、
「じゃあね、お姉ちゃん♪

こんなバカ兄貴だけど、よろしくお願いね♪」

あたしに手を振ると、その場を去った。

お…お姉ちゃんって、まだ決まった訳じゃないのに…。

嬉しいような、複雑な気持ちが胸の中を回った。

南野課長は呆れたように、由香ちゃんの後ろ姿を見送っていた。

「課長」

「んっ?」

「えっと、すみません…」

あたしは謝った。

だって、思いっきり勘違いしていたんだもん…。

「家、くるか?」

南野課長が言った。
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