未来のない優しさ
時間…。

仲直りをしたり、気持ちを告げ合う時間は私達にはなかった。

冷たい会話で途切れた私と健吾の絆は、走り去って行くバスの中からの健吾の視線を最後に繋がる事はなかった。

そう…。

そのまま何も感じられない気持ちを持て余しながら立ちすくんでいた私。

この後に巻き込まれた事故が、私と健吾の人生を大きく変えてしまうなんて考えもせず…。

悲しみだけに包まれていた。

その後に背負う本当の悲しみはそんな程度じゃないのに…。


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