お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
「亜季は、本当に浮気性の男が好きなんだね」


 あたしの質問を無視して、お兄ちゃんはあたしを抱き締めた。



 そして、背中をポンポン、と軽く叩いてくれる。



「あたし、本当にダメだね……」


 お兄ちゃんにこうしてもらうと、安心できるんだ。


 優しいお兄ちゃんは、カッコよくて知的で、パッとしないあたしにとっては自慢のお兄ちゃん。


「亜季はもう、彼氏なんて作らないでいいじゃん?」

「……」


「お兄ちゃんが、ずっと亜季を守ってあげるからさ。
お兄ちゃんがいればいいだろ?」

 ギュッと力をこめるお兄ちゃん。



 こうされると、魔法がかかったみたいに、あたしは楽になれる。





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