エリートな彼に甘く奪われました
ポカンとしながら彼女の後ろ姿を見ていると肩をポンと叩かれた。

「遼ちゃん、頑張るってさ、健気だよねぇ」

振り向くと釜田がニヤニヤしながら意味深な視線を向けている。

「少しは考えてあげなよ?愛ちゃんばかりじゃなくてさ」

え?

「女に興味ないのかと思わせておいて雨の中、飛び出して行くんだもんなぁ。
格好良すぎだろ、色男~」

「ち、ちょっと待て。、お前、その事誰かに…」

「話すかよ~、俺がペラペラ話すと今頃、会社中大騒ぎだぜ」

そんな、大袈裟な…。

「世紀のイケメン、熱愛発覚!ってな。
しかも知れると、愛ちゃんが辛い立場になるんじゃないかな」

「……。」

「会社中の女を敵に回す事になるしな。
……、あ、わりぃ」

「いや」

俺は自分の気持ちばかりで愛の立場なんて考えもしなかった。

そうか、愛の言う通り隠すのがいいのかもな。

でも何でコソコソしなくちゃならないんだ。

俺は大勢の人の前で、愛は俺のものだ、と叫んだっていいのに。


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