Dear my Dr.
茅島の家に行くと、決まってお義母さんが言う。

「美波ちゃんみたいな娘が欲しかったのよー。男ばっかりだとつまんないもの、ねぇ?」

「母さん、もうそれ、美波も聞き飽きたから…」

「あら、そう?」

お義母さんは元気な人。

男兄弟3人を、みんな医者に育てたスゴイ人だ。

ちなみに、悠ちゃんは次男。

茅島病院の理事長は、まだ誰が継ぐとか言われてない。

「婚姻届、もう出したの?」

お義母さんが言う。

「あ、まだ…私が持ってる、よね?」

「そうだよ」

「ごめん。まだ印鑑押してない」

「無くしたとか言うなよ?」

「持ってるよっ!ちゃんとファイルに入れて大事に持ってる!」

なんとなくだけど、印鑑をちゃんと押さないとって思って。

静かな気持ちで、ビシッと。

まっすぐ押す練習してから…

そう思ってたら、なかなか押せなくて、まだ持ってる。

変なこだわりかな?
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