空耳此方-ソラミミコナタ-

「今日はありがとうございます」

恵がテーブルにお茶を出しながら二人に言う。

【仏壇のお茶にお困りだとか。他に何か新しくあったこととか変わったことかあります?】

恵は少し青い顔で頷く。

「リビングでも自分の部屋にいても時々、突然物が音を立てて揺れるんです。ガタガタって」

意図せずもの迫力満点の言い方に炯斗はゴクリと唾を飲む。

「それが何だか切羽詰まったようになるもので…
祖父に危険でも迫ってるんじゃないかって思って、怖いんです…」


< 89 / 374 >

この作品をシェア

pagetop