空耳此方-ソラミミコナタ-
「今日はありがとうございます」
恵がテーブルにお茶を出しながら二人に言う。
【仏壇のお茶にお困りだとか。他に何か新しくあったこととか変わったことかあります?】
恵は少し青い顔で頷く。
「リビングでも自分の部屋にいても時々、突然物が音を立てて揺れるんです。ガタガタって」
意図せずもの迫力満点の言い方に炯斗はゴクリと唾を飲む。
「それが何だか切羽詰まったようになるもので…
祖父に危険でも迫ってるんじゃないかって思って、怖いんです…」