眠り姫の唇



「…もしかして岩城さん、アスパラ嫌いなんですか?」


「……。」


難しい顔をして固まる岩城に瑠香は目を丸くした。



「わーー。意外ですね。」


道理で先程から箸の進みが悪いわけだ。



アスパラの肉巻きの、肉の所だけ食べている。


まるでリスのように。



脳内で、岩城にリスの着ぐるみを着せてみたが、あまりにも気持ち悪いのでやめた。


「別に嫌いじゃない。ただ、中の白い所、緑の味しかしないだろ?それが少し苦手なだけだ。」


それって嫌いなんじゃ…。


「んー、仕方ないですね。」


そういって瑠香はヒョイッと岩城の器を奪った。


要は、真ん中の部分にも味がついていたらいいのだろう。



包丁で、アスパラを縦に切って、余ってる肉とサッと炒め直した。



「はい、どーぞ。」



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