プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 腕枕をしてもらって頬をすりすりと寄せると、くすぐったそうに笑われて、おでこにキスがおりてきた。

「秘書じゃない君とこうして外でゆっくりするのは、久しぶりだったな」

「こうしていられる日が幸せだから……もうちょっと先でいいんです。お互いが安心していられる時がきたら自然に」

「それなら、結婚記念日の方が先かもしれないな」
「その頃には、きっと同じこと言うと思います」
「どんな?」
「それは……」
「君が欲しいって?」
 イジワルな顔をして、潤哉さんは笑う。

「可愛がりすぎたから、少し色んなことをさせようかな」
「もう、ダメですよ」
「じゃあ、分かった。結婚記念日を目指して……作ろうか」

 艶っぽい声で囁いて、私の上に乗りかかって閉じ込める潤哉さん。
 そんな日が来たら、今以上に幸せを感じるんだろうか。

「潤哉さん」
「……まだ、ダメって言う?」
「ううん……ただ、言いたくて」

 もったいぶる訳じゃないけれど、身体の奥から突きあげてくるような心地良い感情にうずうずと疼いた。

「何、言って」
「だからね……」
「うん?」

「すごく、幸せです」
 心から伝えたら、面喰った顔をした後で、溶けるほど熱いキスをくれた。
「僕もだよ」と言って。
 
 こんな幸せな時間があるのなら。
 もう少し、二人きりでいる時間があっても、いいかもしれない。

 きっと、同じ気持ちでいられる今が、大切だと思うから。
 そしていつか、その時がきたのなら……。 







番外編1 幸せの日々 美羽編・END

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