スイートスキャンダル
……いやいや、無理です!


だって、あたし……


5年以上、彼氏いませんから!


……って、そうじゃなくて!


声に出しそうな叫びは心の中で留めたものの、背中には冷や汗が流れている。


男性と二人きりで一晩を過ごす方法なんて、とっくに忘れてしまった。


そもそも一晩じゃないし……


ま、まぁ、別に何かあると思ってる訳じゃないんだけど……


ボストンバッグは取り返したから、今すぐこの場から逃げる事は出来る。


だけど…


やっと目的地に着いたのに、あんなにも楽しみにしていた温泉に入る事すら無く帰ってしまうのは、あまりにも勿体ない。


そんな気持ちから、心の中の天秤がグラリと傾いた。


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