甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
俺は家に帰る道すがら考える。


やっぱりあの親子には
ちゃんと会って空白の年月を
埋めて欲しいと思う。


それは俺の自己満足に過ぎないのか?


いいや、俺にとってユズもトキさんも
大切な存在だ。


その二人だからこそ……
って格好つけすぎだよな。


俺はただ何となく
自分が居心地悪くて……
ユズにとって大好きだった母親を
俺はずっと独り占めしてきて
それがどうも後ろめたく感じて……。


それにトキさんにしても
俺のことを本当に我が子のように
大事にしてくれているのは分かる。
本当の親以上に近い存在といっても良い。


ただ、どこか
俺を通して誰かを見ている気がするんだ。
それはきっとーーー


何度もトキさんに背負わながら
聞いたあの名前……
「譲(ゆずる)」
その声が、俺の耳に残っているんだ。


トキさんもきっと
我が子に会いたいーーー
そう思っているに違いない。


はぁ……にしても
ユズはマジで頑固なんだよなぁ。


あの頑固さは間違いなく
トキさん譲りだよな。


あの二人、確かに親子だよ。


そんなことを考えながら俺は
家へと急いだ。











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