仮面夫婦
私は医療機器メーカーを営む両親の間に生まれた



とはいってもいつも仕事ばかりの両親にかわり


代わる代わる雇われる家政婦やシッターに世話をされた記憶しかない



クリスマスもお正月も



遠足も運動会も



孤独な思い出しかない



両親の会社で働き始めたとき



たまたま書類を届けにいった病院の裏で隆哉と出会った



その時


隆哉は実の父親とはじめて会話していた



言い争う隆哉とお父さん


『そんな女は忘れた』って言う言葉と


『俺を恨むならいい医者になって俺の技術を越えろ』という言葉が今も忘れられない


隆哉が拳でコンクリートの壁を叩きながら血と見えない涙を流していたことも、、、
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