アンラッキーなあたし
あたしは何者
というわけで、あたしは再びルコ先生の館で働き始めた。

雑用一切を引き受ける条件で平日も置いてもらえることになった。ルコ先生は瑞樹とのデートや、ヒアルロンサン注入や、ボトックス注入や、ピーリングや、フォトフェイシャルや、岩盤浴や、サウナに忙しくほとんど店にいない。

なんだよ、結局あたしがいなくちゃ成り立たないじゃないか、と文句をぶつぶつ、あたしは掃除にいそしむ。

たまにやってきたルコ先生が肩を叩けば、すっ飛んで肩もみをし、グラスに顔が映るほど磨き上げ、四角い部屋を丸くはき、便器は舐められるほどぴかぴかに磨いた。

嘘である。さすがに便器を舐める勇気は無い。

が、それほどあたしはルコ先生につくしていた。それもこれも、ここを切られたくない一身からだった。
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