金色・銀色王子さま
【7th room】俺、好きな人にしか教えないんで
私も…
そんな風に見えるときが来るのかな…









仕事帰りの道、すっかり寒くなった風が頬に当る。
マフラー持ってくれば良かったな。ポケットに手を入れても大して暖かくならないのはトレンチコートだからだろうか。

自販機の明かりが道しるべ。そんな景色が妙に寂しく見える。



「……よしっ」

麻衣はポケットから携帯を取り出した。でも、ディスプレイを見てしばらく考えるとまたポケットに戻した。


居るか居ないか分からないけど…直接言いたい。
店長の言ってることは正しい。
まだ確信持てるほど、自分の気持ちが明確じゃないから分からないけど。



麻衣は自分の部屋を過ぎて、カイトの部屋のドアの前にいた。
深呼吸をして、インターホンを押すと予想外にカチャっとロックを開ける音。





「麻衣ちゃん?どうしたの?」


カイトはお風呂上がりのようで、いつもワックスでセットされた髪が無造作になってる。


「あ、あのねっ…」


「………?」


「今度さ…また…行きたいなと思って。サイクリング」


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