ナナイロのキセキ
近づいていく距離
「じゃあ、先に戻るね。」

「はーい。」


翌日の昼休み。

店長が休憩を終えてフロアに戻ると、休憩室の中は私と有馬さんの二人になった。

すると、有馬さんは、いつものように、にまーっとした顔を私に向けて声をかけた。


「昨日だったよね、デート。どうだった?」

「どう・・・って、そう、ですね・・・。」


私は坂下さんの顔を思い出すと、ぽっと顔が熱くなる。


「あ、なんかあったなー。付き合うことになったの?」

「えっ!?い、いえいえいえ、まだ全然、そんなんじゃないんですけど・・・。」


私は、レストランでの出来事や、来週また会う約束をしたことを、にやつかないように気をつけながら話していく。

抱き留められたことは、さすがに恥ずかしくて言えないけれど。


「へー。坂下さん、絶対最初から最後までかっこつけるタイプだと思ってたけど。

はし使っちゃったりするんだ。 なんか意外っ。」

「・・・ですよね。もちろん私に気を使ってだけど・・・。

私も、ナチュラルにそういうことするひとだとは思わなくて。

話してても、話しやすいし・・・。」

「うんうん!ぱっと見はナイフとフォークが似合っちゃう感じだもんね。

でもまあ、逆に大人の知識と余裕なのかなあ。

私もそんな店行かないから、全然わからないけど。」

「そう、ですね・・・。」



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