詐欺師の恋
ジレンマ

おなか、空いた。


目の前には積み重なるダンボール。



「あのー…」



時刻は…わかんない。



荷物の隙間から私はなんとか、この家の主を見つける。




「あ、のーー…」




家主は聞こえないのか、返事をしないまま、黙々と本棚を整理して行く。




「おなかぁ…空きました…」




虚しい私の叫びに呼応するように、きゅう、とお腹が鳴った。




私は今の状況を、まだ掴めていない。



だって。



私の想像では…今頃はラブラブな感じに…




どこで間違ったかなぁ。



ぶかぶかの軍手を嵌めた手をダンボールの端に掛けて、うーん、と首を傾げる。



血糖値が下がりすぎて、考えられそうにない。

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