オバケの駐在所
カラカサ告げる雨模様

しとしとと
草木を湿らす小ぶりの雨は
昨日から休む事なく
降り続いて
平日の朝を一層
憂鬱に
させているようだった。

気圧の配置から
梅雨入りは
まだ先の事のようだが
例年以上の寒気と
たまに吹く強い風のせいで
今朝は相当に冷えている。

見ると部屋の中で
この交番に勤務している
その男は
季節外れのストーブを
炊こうとしていて
壊れかけている
着火口の部分に
手慣れた作業で
擦ったマッチを
近づけると、
見事に灯油に点火させ
更にくわえていた
タバコにも
戻した手で火をつけた。

私はマッチを擦った時の
ちょっとした
燐の発火の匂いが
気に入って
その時そっと
深呼吸をしてみる。

危険な火遊びの時の……。
まぁ憧れに似てるのか。

自分でも変だなと
思うがね。
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