恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
それでもいい、想いを伝えられただけで自分は満足なのだと九割方諦めていた。
けれど一日、また一日と日にちは過ぎ……。
日を経るごとに、環の心に仄かな希望が芽生えてきた。
期待してはならないと何度自身に言い聞かせても、一度思ってしまうと止まらなかった。
……そして、7日が過ぎた翌日。
あの事件が起きた。
――――今思うと。
あの場に駆け付けたのが雪也だったら、花澄は今頃、雪也と付き合っていたかもしれない。
「……いや、違うな……」
環は自嘲するように笑い、シンクをじっと見つめた。
精神的に弱っていた花澄を強引に陥落するなどということは、あの男はしないだろう。
――――自分とは違って。
「……っ……」