恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
花澄は仮ではあるが、月杜兄弟と婚約している。
しかも雪也が花澄を想っていることは明白だ。
雪也は京大を受けると聞いているので、大学にいる間、花澄と離れて生活することにはなるが……。
それでも、不安は募る。
一足飛びで大人になることなどできない。
一朝一夕で望みのものが手に入れられるわけではない。
それは自分だけではなく、花澄も雪也も同じだろう。
そうわかっていても焦りが募る。
環はひとつ息をついた後、もう一杯水を飲み、キッチンを後にした。