Be yourself!
小さな声で謝って、ギクシャクと椅子に座ったけれど、恥ずかしくて穴があったら入りたいとはまさにこういうことだろう。
「――っていうかさ、怒るところ、そこ? カレー……」
元凶である同期の池中貴文(いけなかたかふみ)は、私を鼻で笑いつつ、優雅に特別定食980円を口に運ぶ。
へっぽこと呼ばれた私は、藍田茜(あいだあかね)
カレー(200円)を食べるのにも相当悩んだというのに(素うどんは150円だ)、さらにこんなかたちで恥をかかされるとは!
私はうつむいたままグギギと唇をかみしめ、隣で涼やかに箸を動かす同期をにらみつける。
「でも、これが私の志望動機だもん。嘘なんかついてない」
「人事の前で、それ言ったんだ。へぇ……信じられないな」
せせら笑う池中は、本気で私を馬鹿にしているようにしか見えない。