あなたのギャップにやられています

マシュマロキス


「俺の作品を初めて認めてくれたのが、冴子だったんだ」

「へっ?」


もうすっかり呼び捨てになった彼の口から、新しい事実を聞かされる。


「美大時代も少しも認められたことなくて、もう絵の道は諦めようと思った。
だけど最後の悪あがきで、デザインの仕事に就いて。
でもやっぱりダメで、もういよいよ止めた方がと思ってた」

「えっ?」


そうなの?
そんなこと少しも知らなかったよ。


「一風変わった俺の作品を、冴子が戸塚(とづか)部長に勧めてくれただろ?」


そういえばそうだったような。

まだ彼がひとつも作品を商品化できないでいたころ、彼の描いたデザインに目を奪われて、部長に絶対ヒットしますなんて、大口叩いたことが。

それで私も木崎君の手伝いに入って、配色を少し変えたらコンペで見事優勝して、大ヒット商品になった。


彼とのコンビはそれからだ。


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