可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
デートとご褒美
【デートとご褒美】
「悪趣味最悪センスねぇ。ってか男ウケ100%な清純系とか、趣味わかり易すぎて笑えるんだけど」
笑えるといいつつも1ミリも笑わずに、お店イチオシだというワンピースを体に当てたまま言ってやると。
鏡に映るあたしを見ていた渚と、姫系ファッションに身を包んだ若い女子店員が、顔を盛大に引き攣らせた。
「……えっと。でもお似合いだと思いますよ、お客様、とても細くてスタイルいいし」
あたしといくらも歳が変わらなそうなその店員は、たぶん心の中であたしに「ざけんなくそブス」とか思いながら、営業スマイルでいちおうフォローっぽいこと言ってきた。
「折角こんなカッコいいカレシさんがおススメしてくれてるし。普段着ない雰囲気のスタイルにチャレンジするのもありだと思いますよ?」
あたしに話し掛けてるようなフリしてるけど、店員のその目は渚の顔ばっか見てる。
普段女の子のお客ばっか相手にしてるとこに渚みたいなイケメンが来たら、目が行っちゃうのも無理もないことかもしれないけど。
渚は遠巻きに見ている他の店員さんともども熱い視線を送られているけれど、気付いているのかいないのか、すこしも動じる様子がなかった。