あなたのキス・・・全部好きだった
恋の再熱
それは、秋も深まる頃

とおるくんはニット帽をかぶって

私の前に現れた。

「ともみ・・・。ずっと逢えなくてごめん」

そう言うと

とおるくんはそのニット帽を取った。

「とおるくん・・・」

私はその瞬間あたりを気にしてしまった。

だって・・・

とおるくん・・・丸刈りにしちゃってるし。

「反省の意味も込めて、頭・・・丸めてきた」

この時代に・・・

なんだか妙に恥ずかしくってしょうがない私。

「ちょっと・・・こんなことまでしなくたっていいのに・・・」すかさずニット帽を頭に被せ

とおるくんを言いなだめた。

「だって・・・彼氏なのに、俺って・・・。」

「気持ちだけで十分だよ。」

「でも・・・これが俺の気持ち。ごめんな。ともみ」

こんなパフォーマンス見せられたの、人生初だよ。


「好きだよ。とおるくん・・・」

それから

私たちは失った時間を取り戻すかのように

その日からまたデートを再開していった。

久々にとおるくんに触れて

私は彼のむくもりに今まで以上に安心感を感じた。

「やっぱり、寂しかったよー。」

ついつい、年下の彼に甘えてしまう。

とおるくんは何も言わず、ずっと抱きしめてくれて

私の恋は再熱したのか

でもとっても穏やかな・・・

癒される時間となっていった。

「ねえ・・・つぎの週末、海行こ?」

「え・・・?寒いよ~・・・」

「大丈夫だって。」

「そうだね。じゃあ・・・連れてって♪」

こうして私たちは冬に差し掛かるってのに

海デートを実行した。

この海デートにまたまた私をとろけさせるキスが待っていたなんて

私は心の準備をしておかなかったのね。

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