DL♥︎マスクの奥の。
マスクの奥の。
「舞ちゃん…。」
綺麗な青空が目の前に広がるお昼すぎ。
私、川倉舞は困ったように笑う存在に申し訳なく思うも、その表情にこれでもかというほど胸をときめかせていた。
「…ごめんね。これから治療だから。申し訳ないんだけど。」
その言葉に、覚悟していた筈の私の心がシュンと切なく萎む。
…仕方ないかぁ。
はいっとティッシュを渡され、素直に口元を拭った。
そんな私を見て、もう一言「ごめんね。」と呟いた目の前の存在。
この医院のDrである九条先生で…
何を隠そう、私の好きで好きで仕方ない…初恋の相手である。
「ご、ごめんなさい。その…、此処に来る前にちょっとした予定があって。」
「…そっか。それならまぁ、女の子だもんね。仕方ないかな。」
優しい笑みに、再び胸がトクンと震えたのが分かった。
ホントは…
ホントは、そんなんじゃないのに…。
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