とろける恋のヴィブラート
「はい。それではそのように演奏者を手配しておきますので……よろしくお願いします」


 奏が受話器を置くと同時に後ろからポンと肩を叩かれた。


「先輩! 聞きましたよ~! あの、御堂カイリのピアノ伴奏務めたってほんとですか? 羨ましいなぁ~」


「そうですよ~! チケットだっていつも抽選だし、なかなかコンサートにだって行けないんですよぅ」


 奏が振り向くと、年下のミーハー女子社員たちが目をキラキラ輝かせながら、その時の様子を語って欲しいと目で訴えてきた。
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