由佳はバスに揺られていた。
由佳はたまらなく憂鬱な気分だった。

バスの中には、カラオケをする桐島の音痴な歌声と、それを見て笑う女子たちの笑い声、そして囃し立てる男子たちの声が響き渡り、正直言ってうるさい。


由佳たちの学年は、林間学校のためにバスで目的地に向かっていた。

季節は7月。
1年生の生徒たちは、毎年とある清涼な地域の山林地帯に訪れることになっている。

細い山道をぎりぎりの幅で走るバス。
曲がりくねった道とバス内の熱気のせいで、由佳は少し気分が悪かった。


目的地に着くと、そこは緑が一面に広がっている自然豊かな山林地帯だった。
外の爽やかな空気を吸った由佳は、少し気分がマシになった。

バスが通れるのはここまでだ。
ここから山頂にある宿泊施設までは、山登りをしながら行かなければならない。
とは言っても、それほどハードなものではないのだが。


この林間学校は制服ではなく私服で来れるということで、女子たちはとても気合が入っていた。
派手な女子のグループなんかは、本当に山林地帯に来る服装なのかと突っ込みたくなるほどお洒落に決めていた。


「ねぇねぇ、やっぱ小野寺くんって私服でも超かっこいいー!」


由佳の隣に居た女子数人のグループがそう言って見つめる先には、カジュアルな服装で決めた薫の姿があった。

その姿はまるでモデルのようで、女子たちは皆、薫に視線が釘づけだった。

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