―――…。

授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響いた。


「お前ら!気を抜きすぎるんじゃないぞー!分かってるかー?」


教室にいる生徒たちに向かってそう言う渡辺先生の話を聞く者は誰もいない。
何故なら皆、今日から始まる夏休みのことで頭がいっぱいだからだ。


「どこ行くどこ行くー?」
「えーやっぱ海っしょー!」
「花火も行きたいねー!」


皆口々にそう話す中で、由佳は荷物を鞄に詰めながら安堵のため息をついた。

由佳にとっては、遊べるという点よりも学校で嫌がらせを受けなくて済むという点において、夏休みはありがたかったからだ。


「奈津子ー!今日早速カラオケ行かなーい?」

クラスの派手な女子集団のうちの1人が、奈津子に言う。

「あーごめん私パス!今日バイトなんだよねー。だる。」

奈津子は舌打ちをしながら、面倒くさそうな顔をした。

「えーマジか。じゃ、また今度だな!お互い夏休みエンジョイしよーね!」

「もち!嫌な奴の顔も見なくて済むしねー。」


奈津子は由佳に聞こえるように嫌味たらしくそう言うと、由佳を睨み付ける。

だがその時ちょうど薫が由佳のもとにやって来たので、奈津子はフンと不機嫌そうにそっぽを向いて、教室から去っていった。













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