大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

羽菜side

…なんにもする気になれなくて、スーツを着たまま、

ソファーのもたれ掛って、天井を見上げてた。


…私、何やってるんだろう?

私は、博さんが好きなだけなのに。

一生懸命、博さんだけを好きでいたのに。

こんな仕打ちってない。

…私はもう、博さんを好きでいる事すら許されないのだろうか?


…いくら考えたって、答えなんか出ない。

博さんと向き合わなければ、何も始まらないし、何も終わらない。


そんな事は分かっている。でも、もし、博さんとの関係が終わったら?

そう思っただけで、何もかもが嫌になってくる。

博さんのいない毎日なんて想像すらできない。


でも・・・博さんに会うのが怖い。

もう付き合えない…好きな人が出来たなんて聞かされたら、

私はその場に泣き崩れるだろう。


…このまま、会えずに、自然消滅してしまう方が、

心の傷は、ゆっくりだけど、時間が癒してくれるかもしれない。


…私って、こんなに憶病だったんだ。


そう思うと悲しいのに笑えた。
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