桜まち 
引きこもる?




  ―――― 引きこもる? ――――




帰り道。

最近恒例になってきているけれど、お祖母ちゃんのコンビニへ寄り道をした。
食事の準備をする気にもなれず、コンビニ弁当で済ませてしまおうと考えたんだ。

「あ、菜穂子さん。毎度」

店に入って直ぐ、レジにいた翔君が声をかけてきた。

「今日もシフトに入ってるんだね」
「はい。来年の夏に旅行へ行こうと思って、金貯めてるんすよ」

翔君は相変わらず元気で、ストーカー女呼ばわりされて落ち込んでいる私の目には眩しすぎた。

「えらいなぁ」

眩しさに目を細めてシミジミ呟くと、翔君がどうしたんすか? というように、軽いのりで訊ねてきた。

「なんか元気ないっすね」
「うん。ちょっとね……」

だけど、翔君に愚痴っても仕方ないので、サラリと流してお弁当の棚を除き見る。
棚には届いたばかりのお弁当がたくさん並んでいたけれど、特に食べたい物がなかった。

おでんでも買って帰ろうかな。

日本酒と一緒にあったかいおでんでも食べたら、少しは元気が出るかもしれない。
なんやかんや落ち込んでいても、結局お酒だけははずせないのよ。

おでん目当てにレジ前に戻ると、同じマンションに住むおばさんが来て居て、私の顔を見ると気さくに話しかけてきた。

「あら、菜穂ちゃん。久しぶりねぇ。お仕事大変?」
「おばさんこそ。それ大丈夫!?」

私のことを心配したおばさんだけれど、見ると右足に包帯を巻いて松葉杖を付いている。
なんとも不自由そうだ。

「ちょっと踏み台から落ちちゃってね。料理作るのが大変でここのところずっと出前生活だったんだけど、それにも段々飽きてきちゃってねぇ」

そういって、おばさんは翔君におでんを注文している。


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