変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
第零章

夜の町





【夜四つ半(現在 22時30分頃)】




「ギャアァァァア!!」



刀を振るうと薄暗い路地に男の叫び声が響きわたった。


刀には悲鳴をあげながら逝った
男の朱い血がついている。




「あ、ああ…
たっ、頼むっ!!助け、くれっ!!」




目の前にいる男は声を掠らせてそう言う。


さっきの奴もそうだが煩いな。
大声を出したら奴らが来るだろ?


奴らが来たら色々面倒だ。




「フッ、フフッ…助けてくれ?助けるわけないだろう」




都合のいい人間だな。


世の中そう簡単に動いてないのはお前は知っているはずだ。


あの時みたいに自由にさせる筈が無い。



俺が前に一歩踏み出すと男は後ろへ下がった。




「お前に聞きたいことがある。正直に答えろ。いらない嘘をつくなんて馬鹿な事はするなよ」




また一歩前に出た。

男も同じように後ろへ下がる。




「十年前の“アノ”ことを覚えているだろ」



「アノ、こと…?」




「そうだ」




「…お、覚えているさ。それがどうした。
あ、あんたには関係のないことだろ。」




< 1 / 108 >

この作品をシェア

pagetop