困ったお父さん
嫁入り
6月15日、私は2年間付き合ってた彼と結婚する。
「ただ、幸せになってくれ。体に気を付けて無理はするなよ。」
言葉短めに困ったお父さんは言った。目には涙がいっぱいで、今にも決壊しそうだ。
父と向き合って話をしたのはどれくらいぶりだろうか。
汚い市営住宅に家族4人で住み、両親の喧嘩に巻き込まれては傷ついて、自分の存在を否定し続けていた。
新居は横浜。住み慣れた大阪の街を離れる。
これで家族から離れられるという安堵にも似た気持ちと、何かあったらすぐ助けに行けないという不安が交錯する。
横浜行きの新幹線の中で、何度もお父さんの言葉がココロの中ぐるぐる廻ってる。
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