【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?


やだ……。

今の湊は、絶対になにかを抱えてるはずなのに、それをわかり合えないまま、うやむやにしたくない。


「ちょっと待って!」


私は振り返りざま、思わず湊の手を掴んでいた。


だけど勢い余って、足がもつれ、湊に向かって倒れ込む。


「……あっ」


気づいたときには、ふたりで床に倒れこんでいた。


「ご、ごめんっ」


湊に馬乗りになってしまい、起き上がろうとした、その時。

ぎゅっ……と私の手を、湊が掴んだ。


「湊……?」


なにも言わず、ただ私を見つめてくる湊。

湊の瞳は泣き出してしまいそうなくらい、悲しくて寂しい色に染まっていた。


初めて見る表情に胸が締め付けられて、なにも言えなくなる。

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