殺戮都市
「あ……」


致命的な音だったと俺は本能的に感じ取った。


噛まれている部分より下の感覚がないし、息も出来ない。


激痛を感じても、声が出せない。


こんな苦しみを味わいながら、俺は喰われて殺されるのかと、悲しくなる。


最後の悪あがきで暴れる……なんて出来ないほど苦しい。


牙がさらに深く食い込み、それが内臓にまで達した事が分かった。


もう……死んでしまう。


と、諦めて腕をダラリと垂らした時……物凄い衝撃が怪物の口から俺の身体に伝わったのだ。


そして、俺をくわえたままグラリと倒れる怪物。


俺の身体も、怪物と共に地面に打ち付けられたけど……そうでなくても死からは逃れられないからどうだって良い。


もう、自分の身体が自分の物じゃないみたいな感覚に包まれていたから。


何がどうなって怪物が倒れたのかは分からない。


その傍らで、ライダースーツの人物が、メットのシールド越しに俺を見ているのが分かる。


ライダースーツを着ていても、胸の辺りが大きく膨らんでいる。


女の人が俺を助けてくれたのか……だけど、もう少し早く助けて欲しかったな。
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