ジグソーパズル
第一章

登校

私は春の優しい光が降り注ぐリビングの窓辺で、味のない食パンをかじっていた。


私は自分の庭を見ながら黙々とパンを食べる。


最後の一口を食べたとき、後ろから雑誌か何かで叩かれた。


私はクルッと後ろを向くと、スーツを着たお父さんが呆れた顔で雑誌を片手に言った。


「机に向かって食べろ。パンくずが落ちてるだろ」


私はしゃがんでパンくずを拾いながら言った。


「はーい」


お父さんは、ササっとソファーに引っ掛けていたネクタイを取って、手慣れた手付きでむすぶ。


私はそれを尻目に、立ち上がって言った。


「お父さん、帰りは??」


お父さんは足元に置いてあったカバンを取り、リビングを出て行こうとしながら言った。


「しばらく遅くなる。適当に食べとけよ」


そう言って出て行った。


私はムーっとした表情で、お父さんが出て行った方に舌を出した。
< 1 / 62 >

この作品をシェア

pagetop