カーテンの隙間から、細い筋となって日の光が射し込んでいた。窓の外から小鳥のさえずりが聞こえる。

優葉のまぶたが微かに揺れ、ゆっくりと目が開く。

「うぅーん」

上体を起こして、大きく伸びをした。

ベッドから起き上がると、すぐに洗面所に向かった。

優葉は洗顔し、鏡に映る自分の姿を見ると、寝癖で髪が乱れていたので、すぐに直す。

そのあとメイクをして、身支度を済ませた。

「できた」

寝室に戻ると、矢嶋は規則正しい寝息を立ていた。

熟睡しているみたいで、優葉が見ていることは気づいてない様子だ。

「うふふ」

無防備な矢嶋の寝顔が子供ぽくて、優葉は笑みを浮かべた。つい見とれてしまう。

矢嶋はまぶたの閉じていても、端整な顔立ちには変わらない。

優葉はベッドサイドに膝立ちをする。起こさないように静かに。

矢嶋に顔を近づけて、肩を軽く叩いた。

「矢嶋さん、起きてください。もう時間ですよ……きゃっ!」

矢嶋が気だるそうにまぶたが開いた。

「きゃっ!」

優葉はぐらりとバランスを崩してしまう。矢嶋が長い腕を伸ばし、優葉を自分の方へと引き寄せたからだ。反動でシーツの海に沈んでしまう。

「あっ……」


無防備な優葉を見下ろして微笑んだ。

「ふぅ、ん……」

矢嶋は不意打ちにキスをする顔を近づけて、唇に軽くキスをした。

「化粧したばっか、なのに……。また、口紅を塗り直さないとダメじゃないですか」

優葉は唇を尖らせ、拗ねた素振りをしてみせる。恋動揺を悟られたくなかったから。

「またすればいいだけじゃないの? もう少しこうやってしていたいから、一緒にいよう。」

そう言いながら、矢嶋は耳元で囁いた。

低く、身体に響くような声に、優葉はドキドキしてしまう。

「だから、ダメーー」

矢嶋にまたキスをされてしまう。ついばむような軽いキスが、しだいに激しくなっていき、深くものへと変わっていく。

ーー流されちゃだめ……。

わかっていても、拒絶することができない。

不意にスマートフォンのアラーム音が、部屋に鳴り響く。

矢嶋の手が放れる。矢嶋は身体を起こした。

「もう時間か」

なにごともなかったように言うと、、スマートフォンの画面をタップし、アラーム音を消した。


「早くしなきゃ」

そう言いつつ、もう少し一緒にいたいのが本心だ。




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