……私の悩みはいったいなんだったのだろう。

その後の話。

次の日のこと。


部長は「善は急げ」と言い出し、朝から早速ジュエリーショップに連れて行かれた。

あまりにも展開が早く、行動が早すぎる部長に戸惑うばかり。


「好きなものを選んでいいぞ!」


そんなことを笑顔で言われても、困ってしまう。

豊富な品数が揃っているが、それよりも普段目にすることのないお値段の宝石も数多く飾られていた。

店内に入って早々何もかも初めてのことで、圧倒されてしまう。

部長が自然に私の手をつなぎ、店内のショーケースを見て回る。

宝石よりも手から感じる部長の体温。

好きな部長と手をつないでいるので、ドキドキしすぎて宝石を選ぶ余裕もない。

部長が私だけに向ける笑顔。

……ちゃんと歩けているのかな?

ふわふわとして、気持ち足が浮いているようにも感じた。

部長は足を止めた。

ショーケースに飾られているシンプルなプラチナのリングにダイヤモンドを指差した。


「これ、優葉に似合うと思うんだけどな。」


偶然、私も同じ指輪に視線を止めていた。

私は部長の顔を見る。


「私も、これいいなあって思ってたの……でも……。」


10000円以上の物を買う時の決断はなかなか出来ない私にとって、あまりにも高額の指輪だった。


「これ、見せてください。」


部長はためらうことなく、店員さんにお願いしていた。

部長はキラキラ光る指輪を手に取り、私の左手を優しくつかみ薬指にはめた。

私は天井に向けて手をかざした。


「綺麗……。」


左手を動かしながら、見とれていた。


「優葉によく似合っているよ。
これにしようか?
……決まり!」


部長は私と自分自身のリングのサイズを確認し、即決した。


「あの……こんな高いの……大丈夫ですか?」


私は不安になり、部長の耳元で聞いた。


「俺さ、独身生活が長いから、それなりに貯めているんだよ。
心配することはないよ。」


平然と言い放った。

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