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流されやすいハルの性格を利用して、僕は普通なら迷惑とか嫌とか、もっと言えば気持ち悪いとか思われてもおかしくない行為を繰り返している。

迎えに行くのも、手を繋ぐのも。

この家に居候させているのだってそうだ。

家にいたくないなら、ビジネスホテルに泊まるとか、他の友達の家に行くとか、本当なら幾らでも選択肢はあるのに、流されやすいハルは、疑問に感じていても、それでも僕の家に来た。

おそらく、僕が意図的に何度も使っている「幼なじみ」っていう安心キーワードが効いているんだろう。

そんな言葉を信じるなんて、お人好しにもほどがある。


とりあえず、ハルを僕のそばに置くことには成功した。

あとは僕の方を見てくれればいいんだけれど、でも、ただ振り向いてくれればいいってわけじゃない。

僕は、ただ君に好きになってもらえたらそれでいいってわけじゃないから。
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