「おばちゃん……さっき、どうして泣いてたの?」

「えっ!?
……あのね……おばちゃん…小太郎ちゃんのおばあちゃんと知り合いだったの。
おばあちゃんが、よくお店にお花を買いに来てくれてたからね。
でも、おばちゃんは、小太郎ちゃんのおばあちゃんが亡くなってた事、全然知らなくて……
ここのおばあちゃんだってことも知らなかったのよ。」

「そうだったんだぁ……
僕、おじいちゃんとおばあちゃんのことは全然覚えてないんだけど、とっても可愛がってくれてたってママが言ってたよ。
あのね、このお家は、おじいちゃんとおばあちゃんのお家だったんだよ。
僕の前のお家は狭かったし散らかってたから、ここに引っ越して来たの。」

「そう……」



小太郎ちゃんの話で、なんとなく堤さんご一家の事情が掴めて来た。
こちらの御夫婦が亡くなられたから、堤さん御夫婦はこの家に越して来られたんだ…と。



「パパも、お仏壇で泣いてることあるよ。」

「そうなの?」

「うん、この前も泣いてた。」



ご両親を失うということは誰にとっても悲しいことだ。
ただ、もう四年も経っていて、しかも男性の堤さんが…となると、どこか少しおかしな気がした。
やはり、堤さんは繊細な方だから、立ち直るのも人一倍時間がかかるのか……



(……あ……)



ふと、さっきのことが頭をよぎった。
私が、あのお客様のことを少し訊ねた時、確か、堤さんは、こうおっしゃったんだ。



『あの時…両親は僕を迎えに駅に来ていて……』



さっきは聞き流していたその言葉が頭の中で繰り返された。



当時、堤さん御夫婦は違う所に住まれていて……
きっと、なんらかの用事で堤さんがこっちに来られて……
迎えにってことは、どういうことかしら?
あ…ご両親もまだ引っ越して来られたばかりで、堤さんもこの家に来るのが初めてで道がわからなかったのかもしれない。
駅からここに来るまでにはちょっと入り組んだ道があるし。
それで、ご両親は迎えに来られていて、その時に事故に遭われたから、堤さんはそれをまるで自分の罪のように感じてらっしゃるんじゃ……?


それは勝手な推測だったけど、もしもその通りだったら……



そう思うと、私は胸が締め付けられるような想いを感じた。



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