幸せの花が咲く町で
僕は、なっちゃん達が戻って来たことを篠宮さんにメールした。
電話にしようかと思ったものの、もし眠っていたら申し訳ないと思ったからだ。



(そういえば、お店の携帯はそのまま使い続けるんだろうか?
食事会の画像もあの携帯に入れてたけど、篠宮さんは、まさか自分の携帯を持ってない…?)



そんなことを考えていると、篠宮さんからすぐに返信が来た。
今日はやめておいて、また別の機会にうかがいますとのことだった。
少し残念ではあったけど、昨夜はほとんど眠ってないし疲れてるだろうと思ったから、それ以上は誘わなかった。
篠宮さんが起きてることがわかったので、僕は携帯のことを訊ねてみた。



『これは、私個人の携帯です。』

『でも、メアドがフラワーショップになってますが……』

『花屋で働いてる香織だから、flowershop-kにしたんです。
例のメル友と別れてからしばらくして、気持ちを一新しようとメアドを変えたんですよ。
でも、特にこだわりもなかったので、こんな単純なものに……』



僕はこんなことにまで誤解してたんだ。
篠宮さんは、結婚してるから、僕には携帯の直アドさえ教えてくれないって。
思い込みで、見える世界はずいぶんと捻じ曲がってしまうものだと、僕はあらためて痛感した。



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