豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


光恵は鞄の中から、ソイバーを取り出して孝志に手渡した。


「今日はこれを食べて、すぐ寝ること。明日からわたしが食事と運動、全部決めるから。舞台が終わるまで、生活を変えてもらう」


孝志の顔がぱあっと明るくなった。


「ミツの言う通りにすればいいってこと? そしたら痩せられるんだよね」
「そう。でもそれに胡座をかかないで。気持ちを引き締めてよ」
「うん」
孝志は頷いた。


「とりあえず、明日練習が終わったら、この部屋の掃除をするから」
「えー、なんで?」
「あのね……生活習慣がこの部屋を作ってんだよ。みてごらん、ひどい部屋。臭いし……あの布団、どんだけ干してない?」
「……わかんない……くらい、干してない」
「げ、気持ち悪い」
光恵は思わず顔をしかめた。


孝志は心外だというような顔をしたが、光恵は無視した。


「明日、わたしが部屋にはいるんだから、見られちゃまずいものは自分で隠してね」
「見られちゃまずいものって?」
「AVとか、エッチな漫画とか、あるでしょ?」
光恵が言うと、


「な、ないよおお」
と、孝志は顔を真っ赤にして、首を振った。


光恵はそんな純情ぶる孝志を再び無視する。


「じゃ、また明日ね」
光恵はそう言うと、汚部屋を後にした。


「面倒くさい男。でも仕方ないか、手伝わなくちゃ」

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