オーディションには、かなりたくさんの人数が集まった。やはり孝志効果で、有名劇団でチャンスをつかみたいという人が多いのだろう。


「ミツの創作意欲がかき立てられるようなヤツが来るといいな」


三池が肘をついて、光恵を見る。
まだ何にも書いていない。全部知ってるんじゃないか、光恵は焦りを見せないように必死だった。


十代から三十代までの役者達。光恵は真剣に、履歴書と目の前で身体をほぐしている人たちを見た。


その中でも一人、目を引かれる人がいた。まだ、ほんの少年。光恵が履歴書を見ると、十八歳とある。演劇経験はなし。
三池が気づいて光恵に話しかけて来た。


「あいつ、気になるな」
「三池さんもそうですか」
「うん、華がある」
「ですね」
「オーディションに来たときの、孝志を思い出させる」
三池が言った。


光恵は家にいる、ふっくらあんぱんを思い出した。
ちゃんと、運動してるかな……。