ある森に、一人の少女がおりました。


少女は赤い屋根の小さな家で暮らしていました。


森の近くには街があり、少女が出掛けると、街の人々は彼女にとても優しくしました。



少女は目が見えず、いつも目隠しをしていました。


光の射さない、真っ暗闇が彼女の世界。


耳や鼻、舌や肌から世界を感じられても、やっぱり闇は闇のまま。


でも、少女は悲しくありませんでした。


憐れみや軽蔑の眼差し、陰口を言う人の表情…。


暗い世界では、嫌なものや不快なものが見えません。


きれいなものや素敵なものも初めから知らないので、分かっていながら見ることのできない苦痛を味わうこともありません。


何も目に映らない優しい暗闇に包まれて、少女は幸せに暮らしました。



恐ろしい影が忍び寄っているとは夢にも思わずに。




めでたしめでたし











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