Candy House
逃げたくても、動けない。

動きたくても、ガッチリと固められているせいでできない。

腰には上野さんの手、胸には上野さんの顔。

これからお世話になるって言う人を殴っちゃダメだよね、うん…。

安部さんは寝てるから戦力外だし…。

「あ…何か、いい匂いがする…」

匂いの先にあったのは、上野さんの髪の毛だった。

彼の髪から香っているのは、甘い匂い。

「ハチミツ…か?」

シャンプーか何かの匂いかも知れないけど、そのハチミツの匂いに誘われるようにあたしは目を閉じた。

久しぶりにお腹いっぱいに食べたし、部屋も温かいし、疲れたし…まあ、いいか。
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