psi 力ある者 愛の行方 


「あいつが来てから。……あいつが来る少し前から、未知は変わっていって。俺のこと避けたり、いつも具合悪そうにしてたり……凄く寂しいし。凄く、心配……」

泉は俯いたままの私へ、今までためていた想いを言葉にして伝えて来きた。

「どうしてこうなっちゃったのか、少しもわかんないんだよ……。何が悪いのか、わからないんだ……」

何が悪いなんて……。
そんなの、私のせい以外ないんだよ、泉。
普通じゃない、私が悪いの。

痣があるから。
力があるから。

同じような痣を持つ泉には、近寄れないんだよ。
同じ力があったらと思うと、恐くて傍に行くことができないんだよ。

力ある者を求めながらも、可能性のある泉に怯えてしまう。
手を伸ばしては引っ込め、近づいたり離れたり……。
ふらふら……ふらふら……。

楽な場所ばかり探して彷徨ってしまう。

せめて、泉が異性でなかったらよかったのに。
女同士なら、迷うことなく親しい間柄になれたのに。

けれど、御伽噺が。
祖母の言葉が。
私を立ち止まらせる。

その痣が、本物だったらと怖くなる。

悪いのは、全部私。
こんな力を持って生まれてきてしまった私のせい。

何のための力なの?
どうしてこんな力を持って生れ落ちてきてしまったの……。

どんなに考えたって解からない。

解かっているのは、この力を持って生まれてきた事を、今は恨む事しかできないということ。


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