リビングのソファに座り、向かい合う神谷家と惣領家の親子。

優しそうな表情の神谷詩織さん。
目じりの皺は、きっと笑い皺なんじゃないかと思うほど笑顔の素敵な人。
奇麗な薄茶色の髪の毛を束ねてアップにしている。

一方。
さっきから無関心を装う息子の陸君。
切れ長の瞳に薄い唇。
詩織さんと同じように薄茶で少し長めの髪の毛を、ワックスで無造作に散らしている。
泉とは、また違う整った顔立ちだ。
瞳は、人を寄せ付けないような冷たさを感じる。
そういうの、私と少し似ているかもしれない。

母親と大違いの息子は、薄いその唇をきゅっと結んだまま開く事がない。
まったくの拒否状態だ。

少しの間、続く無言の時間。
さっき出したお茶が冷め始める。

玄関で名前は聞いたけど、私は少しもこの状況が呑み込めていない。
一体、この母子はなんなのだろう。
どういった用事があって、今日こうしてここで対面しているのか、私には少しも解らない。

向かい側に座る神谷親子に気づかれないよう、私は隣に座る父を肘で突いた。
私の肘打ちに、ピクリと体を反応させて父がやっと口を開く。

「……あのな、未知。その……神谷さんとは、一年ほど前からの知り合いで……」

そこまで言うと、んっんんっと喉の調子を整えるように咳払いをし、目の前のお茶を一口ズズッとすする。
その姿に、目の前に座る神谷詩織さんは、少し心配そうな顔で父を見ていた。