初恋はカフェ・ラテ色
75歳のお祖母ちゃんもいるけれど、趣味のカラオケとゲートボールで忙しい。お祖父ちゃんが亡くなった後、2年間『柴田屋』を支えてくれていたけれど、ようやく弟子の順平さんが一人前になって来たのでご隠居身分になったのだ。

それからやっと自分の人生を楽しめるようになったお祖母ちゃん。腰は長年働いていたせいで少し曲がっているけれど、まだまだ若く活発な人で私の良き理解者。

弟子の順平さんは高校を卒業した18歳の時から『柴田屋』で働いてくれている。小さい頃からの夢が和菓子職人。

和菓子職人の世界では、いろいろな製造技術を身につけて一人前になるのは一般的に10年かかると言われている。

そんな順平さんも10年間『柴田屋』で働いて、今年で29歳。近くのアパートに住んでいる。

短髪にいつも日本手ぬぐいのハチマキを巻き、一見堅気の人間じゃなさそうに見えるけれど物腰が低く優しい人。

近所のおばさんたちから人気がある。

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