恋愛奮闘記
stage.7





橘さんからの電話の後、急いで支度をしてお店に向かった。

お店に着くまでの道中、街の様子を見て不安がどんどん大きくなった。



お店に着いて扉を開けると橘さんと店長が呆然としていた。



「店長…橘さん…」

「あっ矢野!」

「………こんなことって…」



酷い状態だった。



昨夜の大型の台風は、この街に大きな被害をもたらしたようだ。

ここまで来る途中も、電柱が倒れてしまっていたり、床上浸水している住宅があったり、色んな光景を目の当たりにした。



でも、うちのお店が一番酷いように思う。

お店のなかは泥水が入って泥だらけ。
ドライヤーをさせるように低い位置にあるコンセントは全てアウトだろう。

壁のほとんどを占めている外に面している窓は、運悪く隣の店の大きな看板が直撃したのだろう、割れてしまっていた。

その影響で店内に強風で吹き飛ばされたものが散乱しており、セット面の鏡までいくつか割れてしまっている。



当然、営業出来るような状態ではない。




「…どうしよう」

店長がぽつりと言った。





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