「望月くん、ちょっと言ってきてくれない?」


気の弱そうな口調で私に依頼するのは、平野(ひらの)総務部長。


「また私ですかぁ?」


私はオフィスチェアに背を預け、うんざりと問い返した。
OLも6年やってると幅が利くようになってくる。
部長相手だって軽く文句が出る。


「きみが行くのが一番波風が立たないと思うんだ」


「がつんと波風立てましょうよ。むしろ、私が行ったら暴風波浪警報ですけど」


「まあまあ、そう言わず、ひとつ頼むよ」


部長なのに、部下に頭を下げる平野さん。
その弱気が営業部隊をのさばらせる原因だと思うんだけどな~。

でも、頭を下げられちゃ仕方ない。私は立ち上がる。


「ラジャ。第一販売課に殴り込んできます」


びしっと敬礼をすると、平野部長は慌てた。


「くれぐれも穏便にね」


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