「『正しい』と教わってきたことが、本当に正しいかなんて、後にならないと分からないものだよ」

彼女は、力なく笑いながらそう呟いた。

長いスカートの裾から覗く痛々しい傷跡が、その言葉の意味を教えてくれた。


僕は知らなかった。

すべてが燃えて消えた夏が、確かに存在したことを。



『夏に燃ゆ』


「この平和な世界は、いつまでも続かないかもしれないね」


彼女の声が、僕の心を引っ掻いた。


「戦争は、一番弱い立場の者に、最も惨いことをする」


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自分たちに関係ないこと、ではない。


確かに、69年前、私たちの暮らすこの国は、誰しもが正義と叫んだ戦争であらゆるものを犠牲にした。


絵空事でもなんでもない。

私たちが享受している平和が、今問われているのだから。