~知られたくない過去~



誰も居なくなった部屋で私と奥村君は暫くの間、無言で視線を絡め合っていた。


もしかして、彼はあの視聴覚室での"合図"のことを言ってるの?まさか……それはもう6年も前のこと。今更、そんな……


「驚いたな。そのライター……まだ持ってたのか?」

「わ、悪い?使いやすかったから使ってただけで……別に深い意味なんてない」


動揺しまくりの私の顔を覗き込み、奥村君は意味深な笑みを浮かべる。


「だよな、俺のことが忘れられなかったら、とっくにそのライター返してたよな」

「そ、そうだよ……6年前のあのことは、たまたまで、お互い好きとかじゃなかったし……」


私ったら、何言ってんだろう?自分から触れたくない過去の話ししてる。


「じゃあ、俺とは会いたくなかったろ?好きでもないのにシた男だから。それも初めての……」


図星だった。出来れば奥村君とは会いたくなかった。でも、さすがに面と向かってそんなこと言えない。


「考え過ぎだよ。私、なんとも思ってないし」


苦し紛れにそう言った私を立ち上がった奥村君が冷めた目で見下す。


「一つだけ忠告しといてやる。俺と関わりたくないなら、星城百貨店に就職するな」

「はぁ?」


突然そんなこと言われても納得出来るワケがない。眉を寄せ「どういうこと?」と訊ねると、奥村君から思いもよらぬ言葉が返ってきた。


「俺が勤めてるのは、星城百貨店の企画部だ」

「えっ?うそ……それって、私と同じ……」

「そうだ。俺と一緒に仕事したくないなら、やめとけ」


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